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GROUP STUDY EXCHANGE ROTARY DISTRICT 2650

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GSEご報告案内

G.S.E.プログラム(イギリス)に参加して

木村美保子(看護師)

はじめに

いつか海外で生活してみたい、留学できたらいいなと、小さい頃から海外に憧れていました。そして社会人になり、職務を日々の忙しさの中で全うするにあたり、そのような海外での生活や留学などの機会を逃し今まで来たような気がします。

時間は確実に過ぎ、気づいたら看護師という職業に就いて10年が経っていました。もちろん、看護師という職業を選んで本当によかったと思っていますが、今回、自分の中でこの10年目を節目の年として、何か視野を広げられるようなことができないかな、と考えていた時でもありました。

そんな時に、このGSEの話を伺い、推薦していただき、メンバーの一員として1200地区でのGSE研修に参加できる素晴らしい機会に恵まれただけでなく、たくさんの貴重な体験をも得ることができました。その素晴らしい機会Wonderful Opportunityをいくつか報告させていただきます。

Wonderful Opportunity1──美しさ

1200地区はイギリスの西南部にあります。のどかな風景をたくさん目にしました。車での移動が殆どだったのですが、車内から、羊や馬、牛を日常的に見られるのです。(羊ちゃんが時々道路に出たりして少々危険らしいですが)そしてなんと素晴らしいパノラマビュー。

Portlandからの風景

イギリスに行ってまず思ったことは、緑が多いこと。緑は人の心を癒します。イギリスにはナショナルトラストという、歴史的建築物の保護を目的とし、美しい自然や景観を永久に守るためにその所有者となって管理をしている環境保全団体があります。

その管理しているナショナルトラストの施設をいくつか訪問しましたが、本当に自然、風景、史跡、建物すべてが美しく、うっとりしてしまう程でした。

UKのナショナルトラストのHP
http://www.aflo.com/nationaltrust/

Wonderful Opportunity2──VOCATIONAL VISIT

医療機関は、どこの国にもあるでしょう。その点、私はこのVOCATIONAL VISITには恵まれていたと思います。中でも印象的だった2つの病院は、1 YEOVILのWomen's Hospitalと、2 TAUNTONのMusgrove Park Hospitalです。

共にNHS(National Health Service:国民健康サービス)の機関で、イギリスの医療制度はこのNHSにより、国の保険が適応され基本的に無料でサービスを受ける事ができます。

ここは名前の通り、女性のための病院です。産科・婦人科。婦人科の診察室では設備もさることながらカーテンや機械類の位置などの環境整備が行き届いていました。それは、プライバシーの保護にもつながります。特に婦人科はこの点が重要だと思います。手術室でも十分な広さと行き届いた設備に圧巻。物品庫は整列されてとても働きやすさを感じました。(私の職場のスタッフにもみせてあげたかったです!!!)

Ope準備室

Operation room

マタニティunitについて。

まず、分娩室が広い!すべてLDR(Labor(陣痛)Delivery(分娩)Recovery(回復))システムの部屋が9つもあります。LDRシステムは、すべて同じ部屋の中で過ごそうというのが目的です。そこで、家族とともに分娩をします。それにはLDR bedという陣痛ベッドが分娩台となるベッドが必要なのですが、それに加え、Water Delivery用のPoolも設置されています。

部屋の中は家具やテレビやソファーなどをおいてできるだけ普段の部屋と同じようにしています。この部屋では、立位での分娩を見学させていただきました。イギリスは高い確率でフリースタイルの分娩様式や水中分娩をとっています。

L.D.R room

Birth Ball使用説明書

どの病院のLDRroomに必ずといってよいほどもあるもの・・・それはバランスボールならぬ「バースボール」。壁にはバースボールのポーズの説明を描いたポスターが貼られており、実際に、分娩、出産に臨む妊婦さんが使われるのですが、これを使用する事により、陣痛を少しでも逃し、お産がスムーズに進むように取り入れているのだそうです。

日本でも助産院などで使用していますが、より安全、安楽に出産していただくために今後、もっと深くバースボールについて学び、私の病院でも是非取り入れていきたいと思いました。

その他に日本との違いとして、自宅での出産が多い事。近年ますます多くなってきているそうです。そして助産師をメインに分娩を行っている事。これだけでもイギリスの医療レベルが高いといえます。そして、何より夫のサポートが十分に得られている事(さすが紳士の国だけあり、とても妊婦さんにとって心強い存在です)などを感じました。

Wonderful Opportunity3──Jerseyでの地区大会&Ball

この地区大会に、私達GSEチームも参加することになり、パワーポイントを利用し各自の自己紹介と私達のエリア紹介を発表させていただきました。今回の研修にあたり、パワーポイントを初めて作成したのですが、色々と試行錯誤しながらみんなで力をあわせて素晴らしいものができました。

今まで、人前でこのような発表をする機会が少なく、しかも英語での発表だったため、とても緊張しましたが、1200地区の方々のあたたかい見守りもあり無事に発表を終えることができました。ただ、私の語学力はまだまだですので、英語にもっと強くなることが今後の課題です。発表を終えた日の夜はBanquet & Ball Dancing。

Ballとは、盛大な舞踏会、ダンスパーティの事で、みなさんフォーマルな衣装で参加されていました。みなさんダンスがとても上手でBig Bandの演奏も素晴らしくとても盛大な盛り上がりでした。まるで映画のようだわ、と思っていると「Shall we dance?」訪問した地区のホストの方からお誘いが。初めてで戸惑う私に上手くリードしてもらいながら、ダンスを楽しむことが出来ました。

ダンスなんて、踊ったことないわ、恥ずかしい・・・と思ってお誘いを断っていたら心から楽しむことはできなかったと思います。これは日本人の良くないところ(私個人の問題?)。楽しむということに長けているな、と思いました。みなさんの笑顔がとても素敵でした。

Wonderful Opportunity4──歴史の街、Bath

最後の訪問先、バースでは、かつて保養地として繁栄し、英語のBath(お風呂)の語源となった街で、温泉地として長い歴史があります。8週間前にオープンしたばかりのBATHSPAを見学させていただいたのですが、ガラス張りの4階建ての建物に、温度の異なった何種類もの温泉や、屋外温水プールの他、ヨガやピラティス、リラックスルームなどを完備している近代的な施設でした。

THERMAE BATH SPA

そして、そのSPAのすぐ近くにバース寺院、ローマ浴場跡があり、華やかさと歴史的遺産がもつ厳かさが混在する興味深い街です。ローマ浴場跡は世界遺産で、言わずと知れたBath随一の観光名所です。

博物館には各国語版のある音声ガイドがあるので、十分に理解でき、内容もとても興味深く、時間を忘れてしまうほどでした。そのすぐ上にあるポンプ・ルームではカフェになっており、温泉を飲むことも出来ます。

予想はしていたのですが、鉄分が多いのでとても美味しいとはいえません。でも健康のためを思って一気飲み! 現在は55Pで味わうことができます。

18世紀のジョージアン形式と呼ばれる当時のテラスハウスの建つ町並みはとても素晴らしく、なかでもロイヤル・クレッセントというタウンハウスは半月に弧を描いたような曲線をもった建物で、全長180mもあり、そのカーブの美しさは見応えがありました。建物の前には美しい庭園が広がり、本当に見事でした。

現在も約30世帯が住んでいます。この庭園でBath市の市長さんに偶然お会いしたのですが、ここのハウスはとても値段が高くてあのジョニー・デップも購入することが出来なかったとの事。彼でも買えないなんて、一体幾らなんだろう・・・。(ちらりと聞いたところによると、約200億円! らしいです。ホントかな?)

ロイヤル・クレッセント

このタウンハウスの1番地は博物館、一部はホテルとして使われています。ちなみに1部屋£135(約27,000円)。この1番地は建築当初の貴族の邸宅に修復再現されており、一般に公開されていますが、一部屋ずつにガイドの方がいるという親切ぶりです。インテリアや地下にあるキッチンは意外と広く、食器や調理器具、銅鍋などがずらりと並んでいて、これらを見るだけでも食文化の違いがわかります。

Wonderful Opportunity5──食文化

イギリスの食べ物といえば! なんでしょう? 今の日本では大抵の国の食事をすることができますが、イギリス料理屋さんってあまりみかけないし、ピンとくるものがないのです。イギリス留学経験のある知人から「期待をしてはいけない」とコメント。

不安を残しつつ到着翌日の朝、出てきたものはスモークサーモン、チーズ、シリアル、トースト、デザート。・・・朝から? そして高い確率でジャガイモが出てきます。おそらくこれが主食だと思います。茹でたり揚げたり焼いたり手を変え(品は残念ながら変わりませんが)出てくるのですが、イモ類を食べると私はすぐにお腹が張るので苦痛でした。量がとにかく多いです。よく食べ飲み、そして、食べるのが早い。それ故か、肥満の方が多い。甘いものも大量にぺろりと平らげるのできっと過糖も原因なのでしょう。

自然や風土も素晴らしい故、オーガニックな食物も多いですし、健康維持、増進、またはDIETのため?Kcal・FatオフのFoodもたくさん出ています。ミルクの中にもSkimミルク、SemiSkimミルクまでもがあり、健康オタク傾向にある私には宝物のようでした。

イギリスに限らず、日本でも飽食の時代、今後もっと食事には気を使っていかなくてはならないと思います。正直に、食事はかなりヘビーで胃がとても疲れましたが、果物とチーズはとても美味しかったです。果物は甘く、グレープフルーツも砂糖なしで十分食べることができます。それに野生のブルーベリーも絶品です。酪農もさかんなため、チーズ類もとても美味しく、ワインによく合います♪。これらに関しては、私的には大満足でした。

飲み物といえばEnglish Tea。私はどちらかというとコーヒーを好んで飲みますが、イギリスの紅茶はとても美味しいのです。硬水と紅茶は合うのだそうです。イギリスの水は硬水で、ミルクもとってもクリーミィで美味しく、5段階くらいグレードがあるそうです。

数ある紅茶のなかでも私はLady Grayという種類の紅茶が気に入りました。さわやかな柑橘系の、香りのよい上品な味です。お手ごろ価格で購入できます。紅茶はAftermeal、Afternoon Tea等でいただきますが、食事中は赤でも、白でも、ワインを飲む方が多いです。お水代わり? と思える程よく飲まれていました。私も、多少飲みすぎても殆ど翌日に残りませんでした。添加物が少なく、美味しいのだそうです。 何件かホスト先でも自家製のワインを作っていました。そんなこんなで私も1ヶ月で約3.5キロの貯金をしました。太るのは簡単、やせるのは困難・・・。

Wonderful Opportunity6──HOST FAMILYとのかかわり

今回受け入れていただいたのは9つのホストクラブでした。移動を含め各地区2〜3日の滞在という強行スケジュール。ホストファミリーの方とも、少しずつ、慣れてきたかな〜と思うとすぐにお別れ。

私の英語力が乏しくコミュニケーションを図るのに苦労することも多かったですが、あたかかく迎え入れてくださり、娘のように、孫のように可愛がっていただき、涙の別れになる事もしばしば・・・。

共通していえる事のひとつは、どの家庭もアットホームな感じで、特に感心したのは、ご主人がとっても優しく、奥様に協力的だということ。自発的に後片付けも手伝うし、料理も作ったりします。

もっと日本の殿方も見習ってほしいものです。そしてどの家庭にも、大家族でなくとも食器洗浄機があります。これは、行事やお祝い事の時、ホームパーティをするのに欠かせないアイテムなのです。

Melcombe Regis Rotary Club
Dinner Home Party

それぞれのホストの方々が集まって、幾度か私達のためにホームパーティを開いてくださいました。みなさんの、おもてなしの心がすごく伝わってきました。その際に折り紙をしたり、紙風船で遊んだり、割り箸の使い方をレクチャーさせてもらったりと文化交流の場にもなりました。とても和やかで楽しいひとときを過ごすことができました。

殆どのホスト先の家には庭があって、十分に管理が行き届いており、花々も、大変美しいです。木には小鳥やリスのえさがつるされていました。どの家庭にもりんごの木を植えています。お手製のアップルパイやレモンケーキなどいただいたのですが、私は小さい頃、両親が共働きだったため、おやつの時間はなかったし、お手製のお菓子など食べた事がなかったので、とても心が温まり、感激しました。それに、とても美味しかったです。いくつかレシピを教えていただので、私も是非トライして、もっと料理の腕を磨こうと思います。

おわりに

これらのWonderful Opportunityを与えてくださった各ホストクラブのコーディネーター、ホストファミリーの方々、GSEに携わってくださった全てのみなさんに、深く感謝致します。みなさんの心のこもったおもてなし、温かい励ましがあったからこそ、1ヶ月間の海外生活を乗り越えることができたと思います。

イギリスという歴史の深い国の厳かさ、美しさ。私の心を癒してくれて本当にありがとう。異文化を学び、人々のやさしさに触れ、そして触れ合う事。これらは生涯忘れられない宝物として、大事にしていきたいです。

Bath Rotary Club Host Family
David & Janet with Yoshimi

残念なことに、研修後半、毎日の時間刻みのスケジュール、自分の気持ちを言葉で上手く表現できない事に対する苛立ち、体調の変化などで心に余裕が持てなくなり、不満をもらし、気づくと、私が人と人との関わりで、一番大事だと思っている「笑顔」がぎこちなくなっていました。そんな自分が情けなく、自己嫌悪に陥る時期がありました。自分の甘さ、弱い部分が浮き彫りになりました。そんな私を、それぞれ職種も、

Team memberと

考え方も違いますが、チームリーダーの山本氏は導いてくださり、メンバーは優しく受けとめ、励ましてくれました。互いに協力し、助けあう事。これこそが奉仕の感動を分かち合うという事、そしてそれは強い絆になると考えます。この貴重な経験は大切な仲間を得られたと共に、確実にさらなる職務の向上、自己の成長につながると確信しています。以上をもちまして、GSEプログラムの帰国報告とさせていただきます。

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