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GROUP STUDY EXCHANGE ROTARY DISTRICT 2650

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GSEご報告案内

夢をかたちに イン ウエストバージニア

塩出麻耶子(医療法人初生会 福井中央クリニック)

はじめに

アメリカ好きな私にとって、このGSEへの参加が決まったときは「やった! またアメリカに行ける!」と、単純に「嬉しい」の一言でした。

しかし、参加が決定したときから出発までの間は、宿題、課題があり、また現地でのプレゼンテーション等の準備があり、ただ「嬉しい」とは言っていられなくなりました。

またRID2650地区、さらには日本代表として行くこと、ホームステイすることなど、段々プレッシャーや不安を感じるようになりました。

でも、実際、現地に着いてみると、アメリカに来たうれしさで、その不安はどこかに吹っ飛び、「よし! 楽しむぞ」という気合に変わりました。そして、私のGSEがスタートしたのです。

目的

私のGSEでの目的は

ウエストバージニア州ってこんなとこ

私たちのプログラムはMorgantownから始まり、Wierton 、Parkersburg、Wheeling、Spencer、Elkins、Clarksburgと7つの地域を訪問しました。

ウエストバージニア州はアメリカの北東部に位置し、美しい山に囲まれた小さな州です。

「カントリー・ロード」という曲の歌詞にもあるように「天国のように美しく、古きよきアメリカ」、本当にその言葉がぴったり。遊ぶ場所もショッピングするところも少なく、便利が良いとは言えませんが、森、林、川、山、自然と共に、心も体も浄化できるような癒しの地です。

小鳥達の歌を聞きながらベンチでうたた寝。ホント、幸せでした。ウエストバージニアは、今、私が住んでいる福井県にとても似ています。だからでしょうか、とても居心地が良かったのは・・・。

ウエストバージニア州の人口は約180万人で、人種の坩堝のアメリカでは珍しくその殆どが白人です。また高齢化が進んでおり、肥満の人の割合も他の州に比べてとても高いです。公共の交通機関は殆どなく、移動の手段は、車がほとんどです。

ロータリー例会

1ヶ月の滞在中、7つの地域の14箇所のロータリークラブを訪問し、地区大会を含めて10回以上のプレゼンテーションを行いました。プレゼンテーションではメンバーの自己紹介、日本と日本文化の紹介をしました。

私は着物を持参したのですが、着物はロータリアンの方にも、とても好評で、着物はどういう仕組みなのか、帯はどうなっているのか、どうして着るのに時間がかかるのか等、いろいろ質問があり、頑張って着た甲斐がありました。

今まで私はプレゼンと言うものをしたことが無く、さすがに初めは緊張したのですが、ロータリアンの方たちも、一生懸命聞いてくださり、それがとても嬉しくて、何回もしていくうちに余裕が出てきて、ジョークを挟んだり、私自身も楽しめるようになっていました。

私は、もともと人前で喋るのがとても苦手で、緊張のあまりいつも声が震えてしまっていたのですが、今回でかなり鍛えられたような気がします。メンバーの一人からは「プレゼンの女王」と言ってもらって、とても嬉しかったです。

ホームステイandホストファミリー

地域を移動するごとにホームステイ先も変わり、6つのファミリーにホームステイしました。一番長くても4日間の滞在で、人見知りをする私にとっては、慣れるのが大変で慣れたと思ったら、次に移動と言う感じでしたが、どのホストファミリーもとても暖かくて、忙しい中でも私と話をする時間を作ってくれたり、それが本当に嬉しくて別れるのがとても寂しかったです。

興味深かったのは、ホストファミリーによって生活スタイルや考え方が違って、様々なバックグランドを持っていて、その殆どが他の国からの移民でした。私の、ホストファミリーも、インドやユーゴスラビア、チェコスロバキアからの移民でした。

職業見学

ウエストバージニアで、職業見学として5、6箇所の比較的大き目の病院を訪問することができました。どの病院も、とても大きく設備も整っており、清潔感がありました。

日本の病院の病室といえば、個室もありますが、だいたい4〜6人程度の大部屋ですが、ウエストバージニアは、2人部屋が最高で、それ以上大きな病室はありません。

しかも、これから建てられる病院に関しては、一人一部屋と個室限定に決まったそうです。病状について話をしたり、患者さんのケアをするには、プライバシーが必要となるので、これは、患者さんにとっても、医療者にとっても有難いことだと思います。

病院の食事は、アメリカの家庭での食事に合わせた物で、肉類が中心でした。

一番びっくりしたことは、患者さんにコーラやスプライトといった炭酸飲料を提供していたことです。日本ではありえないことですが、これも、患者さんのリクエストに応えるサービスの一つで、それだけ、アメリカの人にとって炭酸飲料は、生活になくてはならないものになっているんだなあ、と痛感しました。

病院栄養士の仕事は、多少の業務内容の違いはありましたが、患者さんへの対応やケアの仕方、病院食のメニューの立て方などの共通点もありました。また、栄養士として同じような悩みを持っていたり、同じ考え方をしていることも分かりました。

アメリカの栄養学は、世界でもトップレベルと聞いていたので、ずっとアメリカの栄養士に興味がありました。なので、今回、実際に栄養士の仕事を間近で見れたことは、栄養士として、今まで自分がしてきたことに対しての確信と自信につながり、大きな財産となりました。

「食」イン アメリカ

「食」の視点からアメリカ、ウエストバージニアを見てみると、現在の日本でも同じですが、アメリカでも肥満や糖尿病が大きな社会問題になっていて、国家を挙げて対応していることが手に取るように分かりました。

例えば、テレビを見ていても、ダイエット食品やダイエットに関する薬、またインシュリンなどのCMを良く目にし、さらにレストランに行っても、カロリーゼロやカロリー控えめの砂糖が何種類も置かれていたり、スーパーに行っても「Sugar free」や「Fat free」と表示してあるもの、カロリーが大きく表示してあるものが沢山並んでしました。

アメリカの中でも、ウエストバージニア州はは肥満率がかなり高いのですが、それは経済とも関係があるようです。ウエストバージニアは貧しい州なので、食事も、安いファーストフードやレストランで済ませてしまい、またエクササイズやジムに通う余裕もない。プラス、ウエストバージニアの地形はアップダウンが激しく、移動は車なので、あまり歩かない。これらの悪循環が肥満に繋がっているのです。

栄養士も患者さんに栄養指導等を行い、少しでも肥満を改善しようと支援しています。しかし、永年続けていた、食生活を変えるというのは、多くのストレスもかかり、とても難しいと話していました。これは、私も日頃から思っていたことでした。

ウエストバージニアでの1ヶ月の滞在中、テーブルに並ぶ料理の殆どが肉料理で、魚料理を口にすることは、殆ど無かったです。

野菜ももちろん食べるのですが、食べ方としてはサラダとしてです。アメリカの食事はとても美味しいのですが、一人分の量がびっくりするぐらい多く、毎回、料理を注文するのが恐ろしかったです・・・。

日本食が、どちらかといえば、その食材の味を楽しむのに対して、アメリカの食事は料理の味を楽しむものと言う感じを受けました。

また、料理にチーズがよく使われていて味付も濃厚です。そして、炭酸飲料。日本人がお茶をよく飲むように、アメリカでは炭酸飲料を水代わりに飲んでいます。ここまで言うと、アメリカの食事は不健康だと言っているみたいですが、個人的には、大好きです。

滞在を通して、改めて、日本食は世界に誇れる食べ物であると実感しました。アメリカでも日本食レストランが繁盛していて、アメリカの健康雑誌にも日本食が紹介されているように、日本食は健康に良い食べ物として、認知されています。

食に関するアメリカと日本の共通点は、どちらも、昔はみんな体格が細かったということ。経済の発展とともに、暮らしが豊かになり、食べ物が溢れ、生活習慣から来る病気が増加した。

そして、もう一つの共通点は、子供達の食事情。アメリカは一世帯で住んでいる家族、両親とも共働きの家庭が多いので、その子供たちも、自分達で食事を取らなければならないときがあるので、どうしても偏食や欠食気味になってしまう子供たちが多いようです。

ウエストバージニアでは、そんな子供たちのために、朝食を用意する学校もあります。このシステムは、日本では、まだあまり浸透してないですが、とても良いアイディアだと思います。

そもそも食事は、人間が生きていくために必要なものです。でもその食事によって、健康が害されることがある。健康に人生を生きるには、食べ物についての知識と、それを選択する能力、「食育」が必要だと痛感しました。これは、日本やアメリカだけでなく世界中に必要なことだと思います。私も、自分の食生活を見直すきっかけとなりました。

今回のGSEは栄養士としての勉強、文化の交流のほかにも、客観的に日本を、更には自分自身を見つめ直すことが出来た旅でした。日本の良いところ悪いところ、アメリカの見習い所を発見でき、また、改めて日本文化の素晴らしさに気づき、もっと大切に守っていかなければならないと痛感しました。

アメリカは良い意味で、小さいことは気にしない国で、ウエストバージニア滞在中、大騒ぎになっていた豚インフルエンザでも、人々の話しの話題にも上がらないぐらい、みんな普通でした。

私は、小さなことでも、くよくよ悩んでしまう傾向があるので、これを機に変えていきたいです。

さらにアメリカは子供でも大人でも一個人として尊重します。そしてドクターでも患者でも、店員でも客でも対等です。みんなフレンドリーで、通りすがりの人とも気軽に話します。移民の国だからこそ、一人ひとり考え方が違って当たり前、だかろこそ、自分の意見はきちんと主張して、他人の意見も尊重する。子供たちも小さい頃からそのように育てられています。自分の意見をきちんと主張すること、これも今の私に必要なことです。

今回の旅で、一番嬉しく、私の心に残ったのは、泣きそうなほどの人の暖かさ、優しさ、思いやりの心の深さに触れることが出来たことです。人種、宗教、考え方、住んでいる環境は違うけど、私たちは同じ人間で、誰もが、家族や友人を大切に思い、平和を望んでいる。相手を知ろうとする気持ちが大切で、お互いを知ると相手に対する思いやりも自然と生まれる。そうなると、言葉の違いさえも大したことではないということを教えて頂きました。

GSEでの私の目的のすべてを達成することは出来ませんでしたが、個人的には自分に足りないもの、これからの自分に必要なものを発見できた旅でもありました。

最後になりましたが、今回GSE参加のためにご支援くださりました、福井フェニックスロータリークラブの皆様、GSE委員会の皆様、勤務先の院長、副院長を初めとするスタッフの皆様、家族と多くの方々のご支援により、このプログラムに参加出来た事を感謝いたします。

そして、プログラムの準備から、ウエストバージニアで1ヶ月共に過ごしたメンバーのみんな、いつも広い心で、私たちメンバーを見守って下さった淡島団長、本当に有難うございました。

感謝の言葉だけでは言い表せないほどの、出会い、発見、経験がありました。

次へつなげる「Pay It Forward」──GSEで得たものを未来の自分に仕事に社会に、渡してつなげて行きたいと思います。

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