ページの先頭です。
メニューをスキップして本文を読む

GROUP STUDY EXCHANGE ROTARY DISTRICT 2650

GSE メインメニュー

GSEご報告案内

G.S.E.プログラムに参加して

戸田健一郎

私は現在京都市にある客室120室ほどのホテルのフロントスタッフとして勤務しております。今回始めてフィンランドへのGSEプログラムへのお話をいただいたときはフィンランドについての知識はほとんどありませんでした。

仕事柄たくさんの国の方々と接する機会があるのですが、北欧には実際に行った事がありませんでした。一ヶ月間の滞在でフィンランドでの体験を報告させていただきたいと思います。

ホストファミリーに感謝

フィンランドは人口約520万人の国です。北欧に位置しており、人口のほとんどは南部に集中しています。フィンランドに行く前のイメージはサウナ好きでおとなしい人たちというものでしたが、やはりそのとおりでした。我々が訪れた1200地区は主にラップランドと呼ばれるフィンランド北部の地域で、昔ながらの生活習慣が残っている地域でした。そこでは4家族のお宅にホームステイさせていただくことになりました。

まず、オウルの空港に到着するとフィンランドの個性あふれる受け入れチームが温かく出迎えてくださいました。簡単な挨拶の後、それぞれのホストファミリー宅へと向かいました。私がお世話になったのは今回のプログラムをアレンジしてくださったレイラ・リステリさんのお宅でした。旦那様と2人のお子様がいらっしゃいました。

一人は大学生でリステリ宅から車で5分ほどのところにあるワンルームに住んでおり、もう一人は高校生で調度私がお邪魔したときに彼は学校の研修でドイツへ行っていました。

フィンランドはビジネスやその他の点から、外国語の習得がとても重要視されています。フィンランド語、第二母国語であるスウェーデン語に始まり、若い人たちはほとんどが英語プラス別の言語を勉強されていました。

フィンランドでお世話になったホストファミリーの方々:
オウルでのホストファミリー
リステリさんご夫妻

ケミでのホストファミリー
ユッカさん&イェニさん

トルニオでのホストファミリー
エスコさんご家族

最終オウルでのホストファミリー
ペサマさんご家族

古くからの暮らしぶりが今も

次に訪れた町(ケミ)では別のホストファミリーが待ち受けてくれていました。お子様はすでに独立し、違う町に住んでいましたが、私の通訳をする為にご両親の家に帰省してくれていました。フィンランドの若者はほとんどが英語に堪能でしたが、普段英語を使う必要のない方々は英語が苦手な方々もいらっしゃいました。1泊しか出来ませんでしたが、歩いて数分のところに住む親戚の方々を招いての夕食会を開いてくださいました。

三番目の町(トルニオ)でお世話になったホストファミリーには小学校低学年のお子さんが二人いました。お嬢さんは日本にとても興味があり、日本語の単語をいくつか披露してくれました。フィンランドに来て一週間目にしてようやくホームステイにも慣れてきた事もあり、こちらの家族とは今まで以上にさまざまなお話をすることができました。車で一時間弱ほどのところにある一人暮らしのおばあちゃんの家にもお邪魔させていただき、薪のストーブや地下倉庫など古くからの暮らしぶりを目の当たりにすることが出来ました。

薪のストーブ

地下倉庫兼冷蔵室

スウェーデンとの国境にある特殊な町

この町はスウェーデンとの国境にあり、とても特殊な町です。国境はパスポートなしで行き来することが出来ます。スウェーデン側の町と学校等さまざまなことを共有しています。この町でも一泊しかとどまることが出来なかったのがとても残念でした。

最後にオウルに戻って来た際にお世話になったペサマさんのお宅にも小さなお子様が二人いらっしゃいました。下の子はまだ英語が全く喋れず、上の子は学校で英語を習い始めていて少しなら会話をすることが出来ました。

日本語にとても興味を持っていて、教えた単語はすぐに覚えて翌日使ったりしていました。こちらのご主人はとてもユニークな方で、川沿いに自分のセカンドハウスを自身の手で建ててしまい、オウル川周辺を開拓する運動を指揮しておられました。いずれのご家族もフィンランドの伝統料理でのおもてなしだけでなく、家族の一員として接していただいたことがとても印象に残っています。

フィンランドでは10ヶ所の町を行き来し、4回のホームスティ以外はホテルもしくはコテージでの宿泊となりました。1400地区では、何時間もかかる都市間の移動を、一回の鉄道移動を除いてすべて現地のホストロータリアンの方々が自ら運転して送り届けてくださいました。

今回私が一番不安だったのが、なんといってもこの都市間の車での移動でした。実は私、京都市内を自分で車を運転しながら車酔いをした事があるほど車に弱いので酔い止め薬を大量に用意して行きました。最初はどうなることかと心配だったのですが、人間だんだん慣れてくるもので、旅の中ごろからは現地のホストロータリアンと楽しく会話をしながらフィンランドの美しい景色を楽しむ長距離ドライブをエンジョイすることができました。

初めての北極圏越え。この後何度も越えることに・・・。

自分の国を自分で守れる誇り

そんな移動中の車の中での会話は主に次に向かう町についての簡単な説明と、後はほとんどがフィンランドの歴史、特に戦争についてでした。ホストファミリー宅や研修先においても同様に、自分の国の歴史に関してこんなにもみなさんが熱く語れるものかと感心してしまいました。私もそうなのですが、普通一般の日本人が外国の人と会ったとき、日本の文化については外国人の喜びそうな豆知識を喜んで話しますが、戦争や歴史について積極的に話をするといったことはあまりしないように思います。

フィンランドの方がなぜ我先にと過去の戦争の話をしたがるのかと考えたときに、そこはやはりフィンランドの徴兵制が関係しているのではないかと私は思いました。

フィンランドでは18歳以上の男子には6ヶ月から12ヶ月の間兵役が強制されています。戦争が起これば行かなくてはならないかもしれない。そんな状況を経験してきたことによって戦争というものをより身近に感じ、考える機会を与えられているのだと感じました。

実際にフィンランドの方々は徴兵制についてどのように考えているのか、というのを向こうの人たちに聞いてみました。

やはりそれぞれに思うところは色々あるようでしたが、皆さんが口をそろえて言っておられたのは、自分の国を自分で守れる誇りがある、ということでした。また、戦闘要員としての軍隊ではなく、戦後の復旧活動など平和的な活動としての軍隊をかなり強調されており、自分の国での兵役と平和に対する共通の意識をうかがうことができました。

職業研修

職業研修については2ヶ所のホテルをみることができました。まず最初はロバニエミのランタシピ・ポーヤン・ノービーというホテルを見せてもらいました。客室数217室。ロバニエミでも歴史の古いホテルで、ビジネス客や観光客など幅広い客層が利用されているホテルです。残念ながら稼働率等詳しい情報はうかがう事が出来なかったのですが、インテリアがフィンランド風にアレンジしてあったり、客室へのプライベートサウナ室を増設改装されていたりと訪れるお客様がフィンランドを満喫できるようにハード面にかなり力を入れていました。

地下にはカラオケルームもあり、オープンの日は列が出来るほどの人気なのだそうです。フィンランドでは2007年6月よりレストランやバーを含む公共施設内での喫煙が禁止されており、我々が宿泊したホテルはほとんどがノースモーキングホテルでした。ロバニエミのこのホテルもそうで、2階ロビーにはスモーキングエリアが別に用意してありました。

客室

天井の照明

スモーキングエリア

エコロジカルなホテル

研修をさせていただいた2つ目のホテルは最後にオウルを訪れた際のスキャンディックホテルです。もともとはHiltonチェーンだったのが独立し、スキャンディックチェーンとして北欧地域に幅広く展開しています。Ouluのこのホテルは昨年の3月に完成したばかりの新しいホテルです。客室数は214室。利用客の多くはビジネス利用で、ヘルシンキからのお客様が平日に多く利用されています。

このホテルの特徴としてはエコロジーにとても力を入れている点です。客室の内装の90%以上はリサイクル素材、もしくはリサイクル可能な素材を使用しています。またアメニティーを詰め替えに変更、石鹸や歯ブラシのプラスチック包装を無くす等徹底した努力により「ホテル」から出るゴミの量を半分以下に削減したと語っておられました。フィンランドのお客様のエコに対する意識も非常に高く、客室内の分別用のゴミ箱も非常によく利用されているようです。このホテルでは喫煙可能な客室を大幅に減らし、現在8室のみを喫煙可能にしています。

客室には分別用ゴミ箱

サウナ付の客室

おもてなし

1ヶ月の研修の中でひとつとても印象に残った言葉があります。スキャンディックホテルでのスローガンである“OMTANKE”という言葉です。これはフィンランド語で“おもてなし”の意味です。極寒の地ならではの、「迷った人が凍えずに入れるよう、鍵を開けておく」というところから来た言葉だそうです。

この1ヶ月間様々な学校や企業を訪れ、そして現地ロータリアンの方々のお世話になりました。今思うと訪れた場所すべてでこの“OMTANKE”を受けてきたのだなと感じました。

ホームスティ先では家族の一員として迎え入れていただき、全く不自由なく過ごすことが出来ました。この1ヶ月でいただいたおもてなしをこれから人生の様々な場面でお返ししていけたらと思います。

最後になりましたが、GSE山本委員長はじめ2650地区のロータリークラブの皆様、推薦していただいた京都平安ロータリークラブの方々、派遣団長並びに団員の皆さん、そして我々を受け入れてくださったフィンランド1400地区の皆様にこの様なすばらしい経験をさせていただいたことを心から感謝いたします。本当にありがとうございました。

ホームに戻るお問い合わせ