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GROUP STUDY EXCHANGE ROTARY DISTRICT 2650

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GSEご報告案内

GSE研修(イギリス)に参加して

苗村由香里(甲賀高分子株式会社勤務)

1:はじめに

2006-07年度、GSE研修は9/19〜10/20の日程でRID1200地区(イングランド南西部)を訪れました。私が研修参加にあたり、個人的にたてた目標・目的は、

1:できる限り多くのイギリスの方と話す。
2:イギリスの良いところを具体的に見つけてくる。
3:日本・滋賀・RID2650地区の他の府県について、イギリスの方に興味を持って頂けるよう努力する。

この3点でした。私の自分に対する評価としては、3つ全てをクリアできたと思っています。イギリスの方は皆さん明るくとてもフレンドリーでした。明るいだけでなく、多くの方が常にユーモアを持ち合わせておられました。これは私が最も見習うべき点であるように思いました。私のイギリスでの1ヶ月を項目別にお伝えします。

2:派遣地区RI1200地区・イングランド南西部について

私たちが訪れたのは、イングランド南西部で首都ロンドンからは電車で1時間半〜2時間程度、緑豊かなカントリーサイドです。気温は日本と同じくらいか少し寒い程度です。

まず、驚いたことは道路を走っているとすぐ近くに牛・羊・ヤギなどの家畜がいたことです。とてもフェンスが低く、逃げ出さないのかな、などと要らぬ心配をしてしまいました。さらに、場所によっては家屋のすぐ隣に家畜が多くいることもしばしばありました。(日本では、牧草地と住宅地は別の場所にあるように思います。)

私も日本ではカントリーサイドに住んでいますが、全く雰囲気が違いました。全然高い建物がありません。そして、家の形・色がよく似ているため、とても町のイメージが良かったです。

日本で古い家と言えば、築50年以上だと思います。イギリスで古い家と言えば、築100年以上で私が聞いた中で一番古かったのは築700年でした。平均して築100~300年が多いように思いました。これは私の推測ですが、日本に比べてイギリスでは家の建て直しが極端に少ないため、昔の街並みのまま残っており綺麗に見えるのではないかと思いました。

そして、もう一つ驚いたことは日本車がとても多いことです。街中では多くのカーディーラーを見かけましたが、トヨタ・ホンダ・日産をはじめ大変多くの日本車がイギリスで手に入り、その中でもホンダはイギリス国内に工場を持っているそうです。そして、日本車も海外の名だたる車メーカーに並んで人気があると聞きました。

日本の産業・工業・経済にとって、日本車メーカーは多大な貢献をしていると私は考えるので、日本人としてこのことは大変嬉しく、誇りに思いました。ロータリアンの方の中にもトヨタ車に乗っておられる方がおられ、日本車の話を題材に盛り上がりました。

3:イングランドでの1ヶ月について

まず、派遣の決定を頂いてから出発までは、早く研修に入りたい気持ちでいっぱいでした。同じ派遣団員の仲間と協力しながら、団長の山本氏にも助言を頂き、準備を進めていきました。

特にイギリスで披露するプレゼンテーションの作成に時間を費やしました。時間にして30分程度が必要でしたので、かなりの枚数を作成しました。見て楽しめるプレゼンを目指したため、画像をふんだんに使用しました。

イギリスに到着してからも見てくださるロータリアンの方々の反応に合わせて、推敲を重ねました。そのため、自画自賛ではありますが、プレゼンテーションの内容は素晴らしいものになったのではないかと感じています。イギリスに到着して2〜3日で、到着した喜びと自分の英語が通じる喜びで私のテンションは大変盛り上がっていきました。

1ヶ月の長丁場なので最初から飛ばし過ぎると最後まで持たないな、と思っていましたが、それは取り越し苦労で1ヶ月間ずっと楽しく過ごすことができました。研修期間の1ヶ月間、ほとんど毎晩パーティーを開いてくださいました。

イギリスの方々は一回の食事ですごく量を食べます。それがとてもおいしくてずっと平らげていたら、少しポッチャリしてしまいました。食事にポテトはつきもののようです。日本食でいうところの米にあたるものかと思います。

揚げポテト・茹でポテト・マッシュポテトなどありましたが、必ずポテトは食べます。そこに茹で野菜とメイン(肉もしくは魚)でした。メインはとても大きなお肉もしくはお魚でした。そして、付け合せのソースも大変おいしく戴きました。私が一番気に入ったのはアップルソース(林檎の実も入っています。)で、鶏肉を戴く際につけるソースだそうです。

そして、必ずデザートをつけてくださいました。デザートもまた大きかったです。多かった種類は、小麦粉をこねてそぼろ状にしたものに、クリーム・フルーツソース(アイスクリームを乗せることもある)をかけたものです。プディングという名前で、レストラン・パブでは必ずと言っても良いぐらいよく見かけました。

パーティーではホストファミリーを引き受けてくださったロータリアンの方々、その地区の研修を組んでくださったコーディネーターの方々とお話する機会がたくさんありました。私の拙い英語でも熱心に聞いてくださり、分かりやすくとてもクリアな英語で答えて頂いたことは大変有難かったです。

その中でも最も多かった話題は家族のことでした。イギリスでは、他の多くのヨーロッパでもそうであると思いますが、18歳で学校を卒業すると親元を離れて一人で暮らすことが普通であるようです。早くに親元を離れるため、一緒に暮らしているよりも親子関係がより密であるように感じました。

親子同士や兄弟とは週末頻繁に会っているという話を多く聞きました。私も家庭・家族の話をたくさんしました。私は自宅で暮らしているので、あまり意識したことはなかったのですが、家が重要であるということを改めて感じる良いきっかけとなりました。

4:ボケイショナルについて

1ヶ月の期間中、6回のボケイショナルを行い、その他にも4つの会社・教育機関を訪れました。到着して3日目、最初のボケイショナルは日本でも有名な靴のメーカーClarksでした。

クラークスに到着してまず、唯一の日本人デザイナー・矢野さんが迎えて下さいました。クラークスが世界中からデザイナーを募集し、その東京への募集に応募されたとの事でした。イギリス本社で仕事するということを選び、さらにおそらくとても高いい倍率だっただろうと思われますが、その中を勝ち抜かれた(その分、大変な努力もしておられるでしょう)という、とてもすごい女性に見えました。

クラークス本社の社屋はとてもオシャレです。受付すぐ後ろの所に早くもお酒のフタで作られた大きなアートが展示されていました。その他にも社内のいたるところでアートを見かけました。クラークスはやはり靴のメーカーというだけあって、デザインに関することを重視しているのであろうと感じました。

会社に関するプレゼンテーションもとても詳しく良かったです。現在、売り出している商品に関してはもちろんですが、クラークスの歴史に関し、とても詳しい情報を得ることができました。やはり今のクラークスがずっと昔からの歴史を積み重ねて存在していると感じました。

本社を訪れるとともに、併設してあるクラークス博物館も続いて訪れました。そちらでは世界中の靴の歴史を見ることができました。なかなか見ることのできないものも多く、アラスカ・ロシアでの防寒靴や世界の乗馬ブーツなど興味深く見ました。TauntonでのホストファミリーであったピーターはConnexions(コオネシオンズ)という会社社長の方でした。

民間の株式会社ではなく、NPOでした。地域の若者を支援するのが目的で具体的には、

1:学校を訪れて進路の決め方についてアドバイスする。
2:若者の就職や進学を支援する。
3:若い父親・母親を支援する。

といったことでした。

事務所に1階にはフリースペースがあり、日本でいうところの職業安定所の役割をする部屋が付随していました。事務所を訪れて感じたのは、職員皆さんが大変余裕を持って仕事をしているということでした。

ラジオをかけている人もおられたので、なかなか日本の職場では考えにくいことだと感じました。まず、経理部門を訪れました。収益のほとんどは行政(政府)からの補助でした。というよりは、経費として必要な金額を政府から補助されていました。

経費のほとんどが人件費と家賃代で、私の目から見てとても面白く見えました。決算資料にしても、とてもややこしいものというイメージがあったのですが、すごく単純なものでした。そして、私が最も訪れたかった広報部門を見せていただきました。社内のイントラネットと社外に対するホームページを全て管理しておられる女性に応対していただきました。私も会社でホームページを作成しているので、大変興味がありました。

イントラネットもホームページもすごく多くの情報量がすっきり小さくまとめられていました。私にはできないことで、すごいな、と思ってただただ感心してしまいました。どのようにして管理を行っているのか、詳しい質問をしなかったことが大きな反省点です。

同じく広報部門でポスター担当の方もおられました。外部の人々に対し、アピールする(子育てを楽しもう! 色々なことにチャレンジしよう! といったような呼びかけが主である)目的でポスター・チラシの類を作成しておられました。

パソコンを利用したイラストを勉強する専門学校を卒業しておられ、画像ソフトに関してはプロフェッショナルでした。私も同じソフトウェアを使用しますが、遠く足元にも及ばないと感じました。そしてまた、イラスト等を作成する際の素晴らしい感性を持っておられ、“インスピレーションで作成する”と言っておられたのが印象に残りました。

Tauntonロータリークラブがホストクラブであった際に、会長の方が経営しておられるゴミ最終処分場LAND FILL SITEを見学しました。とても広大な敷地で敷地内を移動するのに車が必要でした。

ゴミ処理というのは全て行政が行うものだという先入観があったので、一個人が経営する会社であるということに驚きました(よく考えてみると、日本でもゴミ処理を行う民間企業はあるように思います。ただ、日本でのゴミ処理を行う会社はリサイクルということをまず念頭に置いて、企業活動がなされているように思います)。

LAND FILL SITEでは、缶・ビン・ペットボトル・ガラスの分別や生ゴミなど、毎日発生するような一般的なゴミが回収されていました。さらにここは完全クリーンなゴミ処理場だそうで、回収した後は全て分別されるか、設備を利用して再利用できる材質に変えられていました。それは大変徹底されていて、かなりの設備が設置されているな、と感じました。

汚水も回収しているようで、それにバクテリアを注入して通常の水に戻し、それを川に流しているという設備が大変印象に残りました。かなり大きな設備で何工程にも分かれて汚水が水に戻るようです。それの詳しい原理は分からなかったのですが、初めて見た設備だったので興味深く観察しました。設備の中の1つには、大阪にある日本企業が最初に利用を始めたというものがありました。

生ゴミと園芸からでたゴミを混ぜたものを3週間かけて再利用が可能な堆肥にするといったものでした。これも見たことがない設備でした。イギリスはそれほどリサイクルに力を入れているというイメージはありませんでした。しかし、現在は全世界的に環境問題やエコロジー・リサイクルに関して、関心が高まっていると感じました。LAND FILL SITEでもゴミを回収して、再利用できるものに変えるという光景をいくつも見ることができました。

私が一番気になっていたのは、ゴミ処理業だけでどのようにして企業経営を行っているのか、利益を出しているのかということでしたが、再利用できるようになった最終的なものを売っているということでした。

5:地区大会について

フランスに程近いジャージー島というところで行われた地区大会に参加しました。行きの飛行機はなんとプロペラ機でした。プロペラ機に乗るのは初めてのことで少し緊張していましたが、ジェット機との違いは乗っている間は分かりませんでした。

出発時、イギリス本土は曇りでしたが飛行機から外を見ているとだんだん雲がなくなり、ジャージー島は快晴でした。全く寒くなく、さらに暑いということもなかったのでとても過ごしやすい気候でよかったです。到着してからは少し休んだ後、夜のパーティーに出席しました。

なんとそのパーティーは仮装パーティーでした。招待状には“ファンシードレスでいらして下さい。”と書いてあって、確かに不思議には思っていましたが、仮装パーティーとは思いませんでした。初めて会った方々にも積極的に声をかけ、素敵な衣装の方々の写真をとらせて頂きました。

仮装パーティーと分かっていたら私も何か衣装を用意したかな、などと考えましたが、おそらくロータリーの方々の“ファンシーさ”には遠く及ばなかっただろうと思っています。そのときは分かっていなかったのですが、そのパーティーはゲストと主要幹部だけが出席していたようでした。そうすると、なぜ私が招待状を頂くことができたかというなぞも解くことができました。

そして、2日目にはついに400〜500人の方々の前でプレゼンテーションをする日でした。朝のかなり早くから朝食を食べ、少し緊張感を持って会場に行くと最前列に我々の名前が置かれた椅子がありました。

いよいよだな、という気持ちがふつふつと湧いてきましたが、プレゼンをする直前になると不思議なことに緊張はしませんでした。私自信は地区大会でのプレゼンが一番楽しんでできたような感じがします。地区大会より前にお世話になったホストファミリーの方々も多く来られており、始まる前に元気付けていただいたことも力になりました。

プレゼン中の私の問いかけにも会場の皆さんが反応して下さったこともあり、長いプレゼンを最後まで集中を切らすことなくやり遂げることができました。私たちのプレゼンでどれだけの方が私たちや日本に興味を持ってくださったかは分かりませんが、お一人でも“日本に行ってみたい”と思った方がおられたことを願います。

地区大会では自分がプレゼンをするだけでなく、他の多くの方のプレゼンを聞きました。当然、皆さんが英語でプレゼンをされるので聞き取れない部分も多くあったのですがプレゼン中に会場からたびたび笑いが起きていました。

真顔で話されているのにもかかわらず、会場から笑いが起こるということもあり、真面目なスピーチの中にふだんにユーモアを織り交ぜておられるようでした。そこで私が学んだことは、スピーチをするときには笑顔でユーモアを含め、そして聞き手にも問いかける。こうすれば、聞き手も飽きることなく、聞きやすいということを学びました。

さらに、ロータリーが行っている活動についてのビデオを見る機会もありました。ロータリーの活動について日本を出発する前に少し勉強していたので、活動内容について大まかには知っていたのですが、実際どのようにして活動しているかという現場の状況を見ることができ、それも勉強になりました。

6:最後に

今回、GSE研修に縁があって参加させていただくことができ、本当に良い経験となりました。団長の山本氏は一ヶ月間ずっと支えてくださいましたし、同じく派遣団員の塚本さん・木村さんとは互いに協力し合い頑張りました。

イギリスではホームステイさせていただいた9家族の皆様、各コーディネーターの方々にはもちろんとてもお世話になりましたし、毎日の研修ではその他にも本当に多くのロータリアンの方々が付き添ってくださいました。お会いした人数が数えられないほどでした。

ホストファミリーの方々とはこれからも長くコンタクトをとり続けたいと思っています。ホストファミリーの皆様が私のことを娘・孫のようにかわいがってくださいました。別れがたい出会いばかりであったことは大変嬉しい限りです。

このような機会を与えてくださったロータリーの皆様、私が留守の間に私の仕事を助けてくださった同僚の皆様に本当に感謝しています。今後もより多くの方々にGSE研修を経験して、人それぞれの様々な経験をしていただきたいと思います。

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