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GROUP STUDY EXCHANGE ROTARY DISTRICT 2650

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GSEご報告案内

G.S.E.プログラムに参加して

重山和由

1.はじめに

2007-08度のGSEプログラムの団員として4/8〜5/9までの1ヶ月間、フィンランドの北部のラップランド地方を訪問させていただきました。まず、私がこのプログラムに参加させていただいたのは『いろいろなことに触れ、経験することで、今までよりも外の世界に目を向けられるようになるとともに、日本国内のことにも今以上に興味を持っていきたい。またプログラムの経験を生かし、職業人として成長したい。そして、国際社会の中で必要不可欠な語学力をこのチャンスを生かして伸ばしていきたい』という思いからでした。この点に重点を置き、今回のプログラムで感じたこと、思ったこと、勉強になったことについて記していきたいと思います。

2.ホームステイ

今回のプログラムの中で私はホームステイをすごく楽しみにしていました。今回は、4つの家族の家にホームステイをさせていただきました。どのホームステイ先でも非常に温かく迎えていただきました。英語の勉強をしたいという思いを伝えるとどの家族の方々も夜遅くまでずっと話をしていただき、フィンランドの方々の温かさを感じることができたと思います。

ホームステイでは生活を通じてフィンランドの文化、習慣に触れることができ、また、もっていった食べ物や、私の趣味である書道を体験してもらうことで、日本の文化を伝えることができたと思います。ただ、ホームステイをして強く感じたことは、私自身が日本について深く理解していないということでした。

私以上に家族の方々が日本について知っていて、「世界に目を向けよう、知ろう」という思いのあった私にはすごく考えさせられるものでした。世界に目を向けるということは、同時に日本に対しても目を向けることだと思いました。日本にいる間はこのようなことを考えたことがあまりなかったため、今回このことに気づけたのは非常に貴重な経験をさせてもらったと思いますし、まだ若い今のうちに気づけたのは非常によかったと思います。

3.外装建材の納まり

私の業務である外装建材については、VocationalActivityとして見る機会はありませんでしたが、いろいろな都市を訪問し、街中を歩くことで、マンションの手すりや雨といの納まりを見ることが出来ました。日本とフィンランドでの価値観、考え方の違いを凄く感じることができました。現在、日本では、外装建材の多くにはアルミニウムが多く使われています。

しかし、フィンランドではスチールや木材が非常に多く使われていました。それに、多少、凹んでいたり、錆がでていても、そのままでした。ホストファミリーの方々に理由を尋ねてみると、「アルミニウムなんて高くて使えない」と言われました。また、フィンランドは木材資源が非常に多いことも大きな要因ではないかと思いました。

これは、日本人とフィンランド人の考え方の違いの表れで、日本人はブランド志向であり、機能も重要だが、同じくらいに見た目を重視しますが、フィンランド人を初め、その他の外国人の方々は、見た目よりも、機能、コストを重視する傾向にあると思います。また、日本よりもずっと寒いフィンランドでは、日本と違った外装建材の使われ方をしていると思っていましたが、基本的には同じような感じを受けました。しかし、断熱、暖房という面では、日本とは違うなと感じました。まず、どの窓のガラスも2重ガラスの窓が2枚ついていて、窓からの熱の逃げを防いでいました。

4.ログハウス・ヒーティングシステム

フィンランドの盛んな産業の一つとして、ログハウスが上げられると思います。日本でも数百件のログハウスが建てられています。いくつかのログハウス工場に訪問したのですが、どの工場のも機械化され、少ない従業員で、海外に輸出を行っていました。訪れたのは地方の町で、とても小さい会社ばかりでしたが、どの会社も海外に目を向けていました。これは、フィンランドがEUという組織に加盟していて、ボーダレスになっていることや、陸続きであること、また、人口が少なく、国内での需要が減少していて、海外に求めていかないといけないという背景があるように感じました。

また、ログの製作の仕方にも工夫がしてありました。ログ1本を1本の木から作ろうとすると、非常に大きな木が必要で、経年変化によって、曲がりが出てきてしまうみたいです。これを改善するために、写真のようにいくつかに分割して加工した木材をラミネートすることで、曲がりを防止しているみたいでした。また、これは、大きな木を使う必要がなく、小さな木での製作できるように工夫されていました。

また、ログハウス工場で出された切りくずは、町のヒーティングシステムに使われます。切りくずを燃やし、水を熱し、圧力をかけて120度くらいにしたお湯を地下配管で流し、各建物に送られています。電気やオイルを使用するのでなく余った資源をうまく活用していました。

切りくずを使っていてもCO2を出していることには変わりないが、とてもエコであると思いました。ただ、木を切ることで出された二酸化炭素はイコール0だという考え方を持っていました。木を切ってもまた植えているし、木が育つまでに酸素を出していて、トータルイコール0らしいのです。私の考えでは、木だけについて考えるのではなく、輸送費やその他もろもろの作業を行う時に石油を使ったりと絶対にイコールではないように思いました。一部について考えるのではなく、全体を通して考えることが必要に思いました。

5.社会福祉

フィンランドが福祉の進んだ国だということは以前から聞いていましたが、イメージしていたのは、「福祉が進んでいる」、「税金が高い」などというようなものでした。フィンランドを訪れて社会福祉について感じたことは、老人介護施設がしっかりしていること、育児関係の補償がしっかりしていること、教育費が無料であるという、そして、非常に高い税率(サービス関係は8%の消費税、その他は22%の消費税)であることでした。Pelloという町でケアセンターを訪問する機会がありました。

そこでは、部屋の入り口にセンサーが設けられ、廊下の状況をパソコンで常に監視をしていました。中のイメージは日本のそれとは異なり、非常にクリーンなものでした。老人施設独特の臭いがなく、とてもケアが行き届いているイメージを受けました。また、誰もが入居できるわけではありませんが、入居できる人たちは、生活レベルに応じて支払う金額が違うそうで、低所得層の人たちもそうでない人たちでも平等にサービスを受けられるようになっていました。

フィンランドでは、女性の社会進出が非常に進んでいて、そういった女性への補償というのもしっかりとしていたように思います。日本に比べると非常に長い育児休暇を男性も女性も取ることができるようになっていました。また、小学校から大学までの授業料が無料で、高校までの給食費も無料でした。こういったことが、フィンランドの出生率が先進国の中では高い要因になっているのだと感じました。日本もフィンランドと同じ少子高齢化社会でこういった社会保障政策が今後非常に参考になるのではないかと思います。ただ、社会保障が充実しているということから、社会主義的な感覚を受けたのも事実です。

6.教育システム

フィンランドは、OECD(国際協力開発機構)が行っているPISA(学習到達度調査)においてすべての部門で1位を獲得していました。フィンランドは、日本とは正反対でゆとり教育を思わせるものでした。日本が失敗したゆとり教育で、世界1位の結果を残している理由というのが、今回の訪問で多少見えてきたように思います。

その大きな理由として、教師のレベルが非常に高いということが上げられます。教師になるためには、大学を卒業後に教員を育成する機関に通い、そこで、教育についてのトレーニングを受ける必要があります。そういった質の高い教育を教師が受けることで、どこの教育機関においても生徒が同じレベルの教育が受けることが出来るようになっています。

また、教師になることが非常に難しく、教師自信が独立していて、信頼されているため、家庭との連携がうまくいき、相乗効果となっているように思います。家庭での教育は、学校での教育と同じくらい重要だと思います。また、フィンランドの学校では、教師の自由裁量に任せている部分が多いと聞きました。一つの目的に達するにはいくつものルートがあるため、最善の方法を教師に任せているというのは、教師への信頼の現われで、それに伴う能力を身に着けているのだと思いました。ある学校に訪れたときに、教室の中に入る機会がありました。私たちが教室に入ると、先生は、私たちの訪問をうまく授業に結びつけていました。このことは、今まで経験したことのないようなことだったので、非常に驚きました。また、このことは、フィンランドの教員のレベルの高さ、対応力の高さを実感させられて場面でもありました。また、クラスは20人程度の少人数で、そこに、教員1人とサポートを行う教員が2人ついていました。そういったことで、生徒に対してしっかりとした教育が行き届いているのだと感じました。また、多くの生徒が補習授業を受けていて、そのことは、当たり前のこととなっていて、この補習授業に対しても日本と考え方が違うのだなと感じました。

7.外国語教育

フィンランドの学校での英語教育は、私たちの受けてきた英語教育とは非常に異なるものでした。日本でいう小学3年生の授業に参加したのですが、授業の全てが英語で行われていました。授業の中では、生徒の話す機会が非常に多くあり、より実践的なものでした。こうした生きた授業のおかげで、高校卒業ごろにはほとんどの学生が喋れるようになっているみたいです。

ほとんどの人が英語を喋ることが出来るという背景には学校教育以外のこともあるように思えました。その背景として、第一に「大人の人たちが普通に英語を喋ることが出来るということ」、第二に「CM等でも英語で流れていることがあるということ」、第三に「EUというボーダレスな組織の中で英語が必要不可欠だということ」、が挙げられると思いました。

英語教育が浸透しているのは、今までフィンランドの国が培った深いものが根幹にあり、そこにいろいろなものが付随しているためだと思います。これは英語教育だけでなく、仕事、人間性などすべてのことに当てはまると思います。

現在の国際社会の中で生きていくためには、英語力を底上げすることが急務いなっていると思います。大企業や中小企業は海外進出を行っていますが、まだ多くの企業は国内産業に依存しています。少子高齢化が進み、国内の人口が減少していき、今後、今以上に国内の需要が減少してくると思います。

海外進出がいいとは、一概に言えないかもしれませんが、今後、生き残っていくための一つの手段として重要になってくると思います。今後、国際競争がさらに激化する中で、現状の日本人の英語力では日本は衰退していってしまうと思いました。

8.終わりに

今回の素晴らしいプログラムを組んでいただき、私たちを温かく迎えてくださった1400地区のロータリークラブの方々、ホストファミリーの方々、GESに関わったすべての方々に本当に感謝いたします。どの方々も手厚くもてなしていただき、人々の温かさにふれることができ、深い感動を与えていただきました。

今後も連絡をとっていき、一生の付き合いにしていきたいと思います。また、一ヶ月の間、共に行動し、私たちメンバーを導いて下さり、いろいろな社会勉強をさせていただいた正村氏、慣れない海外での生活の苦楽を共にし、常に支えて下さったチームメンバーの中西さん、戸田さん、本間さん、そして、事前研修でお世話をしていただいた山本氏に深く感謝いたします。

今回経験させていただいたことすべてがVocationalactivityで、今後の私の職業生活において貴重なものとなり、この経験を生かしさらに成長していけるように頑張っていきたいと思います。

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